ーー表情豊かな演奏でした。ギター歴は長いんですか?
河田 じつは私はアマチュアですがクラリネットが専門でして、オーケストラで演奏したりしていました。
その傍ら、マンドリンオーケストラでクラリネットでお手伝いをしたときに、ギターに興味を持ちまして。
ーーマンドリンではなく?
河田 ええ、そうそう、ギターです。それでこそこそ始めまして……。ふだんは高等学校の音楽教員をやって
いますので、学校教育の音楽の中ではギターにずっと触れてきました。
そういう意味では経歴は長いといえば
長いんですよ。
あくまでギター教育をずっとやってきたということで。
ーーでは演奏の発表の場は?
河田 そうたくさんはないんですよ。
ただ最近はこの年になって、ボランティアでギターを演奏したり謳ったり
という場もあるので、適当に楽しんでやっています。
ーーそうですか。
河田 個人的には、ベルリオーズでしたか……、ギターは小さなオーケストラであると言ったのは。そこに興味を持ち
ましてね、
だから僕は演奏しているときオーケストラの音が浮かぶような演奏をしようと心がけています。
だか
らいわばパフォーマンスがオーバーめに出ている演奏になっていると思います。ある面指揮者になり、
もう片方の
面ではオーケストラ団員になりきる。そういう変わり者でございます(笑)。
ーーいえいえ、楽しい気分がとても伝わってくるステージでした。コンクールに出ようと思われたきっかけは?
河田 そりゃもうここのスタッフに親戚の人がおりまして「いっぺん出てみない?」と言われちゃいまして。
それで、「えー!?」という思いもありましたが、ひとつ人生への応援になるかなという思いもあって、出てみました。
もうひとつは小原聖子さんのことが関係します。さきほどマンドリンオーケストラの話をしましたが、名前は《岐阜マンドリンオーケストラ》、指揮者が伊藤尚生。その伊藤先生の指導でギターを習っていました。その弟子の発表会に高校2年の私も出場しました。
その時にゲスト出演した、まだ小学5年生の荘村清志さんの演奏が今もうかびます。そこでは荘村清志さんのお父さんとか、伊藤尚生さん……、ギター界では有名な方々、毎回一流の方をゲストに迎えていました。
それで、あるとき小原聖子さんがゲストでした。その時の小原さんは素敵なステージドレスで、この曲を弾かれたんです。それがすごく印象に残っていて。
それで今回審査員のおひとりが小原さんだと知ってこの曲を選びました。ほんとに私が高校生のときのことですよ。もう50年くらい前の話ですよ......。
ーーところで河田さんのギターは河野...ですか?
とても迫力のある豊かな音だと思いましたが。
河田 じつはそうですが、そこに改良、改造といってもいいかもしれませんが、手を加えています。
教え子にギター製作家になったものがいましたので、このように改造してくれとたのみ、やってもらいました。
いや、改造の内容ですか?それは僕のアイディアを盛り込んで……それは製作家にとっても企業秘密の部分になるし、河野さんに対しても大きな声では言
えないことかもしれないですし(笑)。
でも響きをより豊かにして、「オーケストラのようになる楽器」という方向に鳴る
ようになったと思っていますし僕にとっては、たいへん気に入った音のギターになったと思っています。
ーーそんな河田さんの印象に残るコンサートは?
河田 あの最近では京都で聴いたパヴェル・シュタイドル。あれが印象的でした。感動しました。
まあともかく自分は自分の好きな世界の音楽を楽しんでやっているというかんじです。
ーー自分のやりたい音楽の世界がはっきりあるというのは素晴らしいですね。
河田 つまり高等学校では吹奏楽をやっていましたので、ギターも合奏楽器を奏でるように弾くこと、
それが大きな楽しみなんです。
ですから今日のようなパフォーマンスのある演奏をしてしまいます(笑)。
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